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2025.06.03
コーナーセンサ用傾斜計の用途について
セパレート式傾斜計 SEC-011F の仕様は、測定範囲±45deg、精度0.15deg(繰返し)であり、傾斜面の傾きを測定することができますが、こちらの製品を応用したものをご紹介します。
自動車業界では近年、自動運転、運転支援技術の革新がすすみ、事故減少、被害軽減に貢献しています。この技術では車の周囲の環境、状態を把握するために様々なセンサが使用されています。
コーナーセンサもその一つで、車両の周囲を監視するために車両の前後に設置されています。超音波などで比較的近距離、数mくらいをモニタしています。駐車する際などに接近しすぎるとアラームが鳴って、障害物が近接していることを知らせてくれるなど、便利な機能です。

丸い形状でクボミがある
センサは車両の前後に取り付いていますが、正しく設置されていないと機能して欲しい時に機能しないなどの不具合が発生します。そこで正しい角度で取り付いているのか確認する必要が有ると思いますが、この取り付け角度を測定するのに傾斜センサを用いています。コーナーセンサの表面が、例えば正しく垂直になっているか、所望の角度で取り付いているかを測定できます。
測定面は垂直となっていることが多いですが、測定するときに手で持ってセンサを測定個所に押し当てると、バンパーの部分がたわんでしまうおそれがあり、正確に測定できない可能性があります。そのため、手で持たずにセンサ部を測定面に吸着させる必要が有りますが、コーナーセンサの表面は金属ではなく樹脂性であり、磁石を用いての吸着が出来ません。そこで傾斜センサ部に樹脂パッドを取り付け、真空ポンプで吸引して測定面に吸着させるようになっています。
計測ではまず、測定面を清掃してから、傾斜計の電源を入れ、真空ポンプを作動させます。センサのパッドを出して測定面に吸着させ、ゆっくり手を離すとセンサが吸着面に取り付きます。傾斜センサには上下の向きがあるためセンサに刻印された印を上に向けて取り付けます。取り付け後に本体に表示されている計測値を読み取ります。コーナーセンサが上を向きすぎているか、下を向きすぎているか、正しいのかを数値で判定できます。
今回のご紹介ではコーナーセンサの取付け面を測定するものでしたが、真空で取り付ける原理ですので、コーナーセンサに限らず、柱など磁石が付かない箇所の垂直面の傾きを測定できます。垂直面の測定のご用命がある場合には是非 SEC-S011F-Parking をご検討ください。